Works
Archive
公開作品 10 本
ここでは作品をカードとして並べるのではなく、目録として静かに積み上げていきます。 文章の長さや形式が違っても、すべて同じ棚に収めます。
Catalogue
公開作品
2026
01
芝浜の声
女性落語家である私は、怖い家元の前で芝浜を上げることになった。けれど、いちばん離れがたいのは、もういない落語家の父の声だった。
02
家へ戻るまで
家で待っている家族がいるとわかっているからこそ、バスツアーの帰り道には少しだけ一人になれる時間がある。
03
赤のあいだ
車の列の中で、変わらない他人に腹を立てていたはずなのに、気がつくと自分も少しも進んでいなかった。
04
最後に鳴る和音
雨の夜、酒を少し飲みながらアコギを触っていたら、最後にまだ押さえられない和音だけが鳴った。
05
消え残る音
静かな部屋でノイズキャンセリングを入れたときだけ、ひとつ気になる音がはっきり聞こえる。
06
雨ざらしの洗濯機
屋外に置いた洗濯機がとうとう壊れたが、すぐには片づける気になれなかった。
07
変わらない幅
海岸沿いを走るたび、同じおじさんを見かける。自転車に乗っても、走っていても、なぜかその体つきだけが少しも変わらない。
08
三枚目だけ暗い
帰り道に撮った三枚の写真のうち、最後の一枚だけが妙に暗かった。
09
最初の信号
De:CORE SELECT の起点として置く、ごく短い散文。
10
遅れてくる字幕
自動翻訳の字幕が、ほんの少しだけ現実から遅れて追いかけてくる。